礼法とは
礼法というと、どこか窮屈な形式ばかりのものと思われがちですが当館では礼法は武道の一側面と考えており、また武道に含まれるものと思っています。
武道においては、「礼に始まり礼に終わる」という教えが広まっているとおもいますが、この教えにも間違った解釈がなされている場合を多く目にする事があります。初めと終わりにお辞儀をすることだと思っている人が多いのです。
しかし、初めと終わりにお辞儀をするだけでは意味がありません。
例えば先生に対して教えを求めているのであれば、教えを受けている中、その先生に対する礼というもが常にあって、教えを受けた後には、心から「ありがとうございました」という挨拶ができるのが本当の礼だと思います。「礼に始まり礼に終わる」とはそういう事ではないでしょうか?
礼法の目的
礼法を稽古する目的は単に稽古中だけにするものでなく、自然と生活のなかで出てくる美しく、実用的で効率的な動作を身につける為に行います。
礼法または作法とは、違和感なく社会生活が円滑に行われるための自然な営みの大切な一つです。「実用・省略・美」が一体となった時、その美しい動作が人の目に留ります。
稽古の中で自然と形づくられて実生活で活かして頂く。当館で稽古を通して学ぶ礼法の目的はそこにあります。
礼法に重きをおく理由
礼法に重きをおくのは武道稽古者としての心をつくり、その心をもって社会生活を円満におくって頂くことにあります。
社会に属し集団生活の中でその組織を円滑に廻す雰囲気を作れる人物をつくるのが礼法に重きをおく理由です。ただでさえ人に危害を加える可能性のある技術を学ぶのですし、社会生活の中で諍いが起こらないとも限りません。
身を守ることも大切な事ではありますが、ただそこに礼法を学んだ心があれば実力行使をするまでもなく、その場を収める事の出来る心が形づくられるのが礼法だと考えております。